国民の健康と経済を
感染症から守ることに貢献したい
この度、長崎大学は、「ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成事業」により国内に5つ設置されるワクチン研究開発の世界トップレベル拠点の一つに選ばれました。本学は、これまでも感染症研究と臨床、その人材育成に尽力しており、令和4年4月には、海外での感染症研究を推進する熱帯医学研究所、BSL-4施設を有する高度感染症研究センター、感染症研究人材の育成を行う医歯薬学総合研究科と熱帯医学・グローバルヘルス研究科、感染症の臨床や臨床人材の育成をになう長崎大学病院の5部局が一体となり感染症研究の統合的運用を図る「感染症研究出島特区（以下、出島特区）」が設立されました。本学は、ワクチン研究開発の世界トップレベル拠点をこの出島特区に設置し、新型コロナウイルス感染症パンデミックにおいて問題となった国内でのワクチン開発研究の活性化の一端を担うことになります。
ワクチン開発研究には、企業が持つ強みと連携することも重要です。今回の研究開発では、塩野義製薬株式会社、NECオンコイミュニティAS社、KMバイオロジクス株式会社と共同し、長崎大学がこれまで研究してきた高病原性病原体（エボラ出血熱などを引き起こす危険な病原体）や熱帯性病原体（デング熱、マラリアなど、熱帯地域に広がる感染症の病原体）を対象としたワクチン開発を推進する予定です。それらの開発には、本学ならびに参画企業が特許を有する脂質ナノ粒子（LNP）の応用、さらには、AI（人工知能）を活用する予定です。また、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院とも連携し、世界から感染症に関する情報収集を行い、有事に迅速に対応できる体制を構築することも目指します。
本事業により、将来の世界的感染症の流行時に100日以内でのワクチン供給を目指す国家戦略に寄与するのみならず、国民の健康と経済を感染症から守ることに貢献したいと考えています。
