我が国では、公衆衛生の向上とそれに伴う感染症への関心の低下などの要因から、
長らくワクチン開発や生産に必要な課題に対する取組が十分に行われていませんでしたが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを契機に、
感染症に対するワクチン開発及び生産を国内で賄える力を保持することの重要性が再認識されました。
そこで、我が国のワクチン開発と生産を滞らせた全ての要因を総括し、必要な体制を再構築する国家戦略が取りまとめられました。
それが、「ワクチン開発・生産体制強化戦略」(令和3年6月1日、閣議決定)です。その方針に従い、
令和4年3月22日に国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(以下AMED)内に先進的研究開発戦略センター
(SCARDA:Strategic Center of Biomedical Advanced Vaccine Research and Development for Prepared-ness and Response)が設置されました。
SCARDAでは、産学官連携や臨床現場との連携による基礎研究から実用化に向けた開発までの一気通貫な研究開発を推進することを目指しており、
複数の研究開発事業を展開しています。
その中の一つが、本事業「ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成事業」です。
この事業では、世界トップレベル研究開発拠点(フラッグシップ拠点、シナジー拠点)や研究開発をサポートする機関(サポート機関)を整備し、
平時から同研究拠点を中心として、出口を見据えたワクチン開発とその関連研究を強化・推進することを目指しています。
東京大学(フラッグシップ拠点)に加えて、長崎大学は、北海道大学、千葉大学、大阪大学とともに、シナジー拠点に選ばれました。
また、ワクチン開発に必要とされる重要な機能等の共通した基盤をもち、上記拠点に対しての支援機能を担うサポート機関として、
公益財団法人実中研(動物実験:小型実験動物のみ)、医薬基盤・健康・栄養研究所、滋賀医科⼤学(動物実験:大型実験動物を含む)、京都大学、
理化学研究所(ヒト免疫についての解析等)、東京⼤学(感染症の重症化リスクの高い疾患のゲノム解析等)が選ばれています。
管理体制